News 2020.11.10
第80回神戸学院大学土曜公開講座を11月7日にポートアイランド第1キャンパスで開催しました。
4回目となる今回は、栄養学部大平英夫准教授による「アルコールと疾病リスクとの関連性」と題した講座で、アルコールが体に及ぼす影響や変化について講義を行いました。
はじめに、アルコール飲料の規制は国によって異なり、その有害性の高さから全世界で約46%の国が国民の健康を守るため国家的アルコール政策を取っていることを紹介しました。
また、厚生労働省が適量として推進している1日当たりの平均純アルコール摂取量約20gに対し、1缶飲み切ると20gを超えてしまうアルコール飲料の多さについても話しました。中には1缶で60gの摂取量になるアルコールもあり、受講者の方々も驚いた様子でした。
アルコールを摂取すると気分が良くなる変化については、中脳中心や脳全体で起こるメカニズムを説明し「生化学的、遺伝的、環境的、精神的要因が絡み非常に複雑なため理由はまだ良く分かっていない」と話しました。
またアルコール摂取量と疾病リスクについては、摂取量とリスクが比例する「高血圧・脂質異常症・脳出血・乳がんなど」のほか、一定のレベルを超えるとリスクが急上昇する「肝硬変」、Jカーブでリスクが上がる「虚血性心疾患・脳梗塞・2型糖尿病など」の主に3パターンに分かれると説明し、アルコールは疾病以外にも全世界でアルコール依存症や交通事故、対人暴力など様々な問題の起因にもなっていると話しました。
アルコールは摂取されると口腔から食道、胃、小腸、大腸の順に通り肛門へ進み、消化されずに約20%が胃に吸収され、残りの約80%は小腸に吸収されることも説明しました。アルコールの分解には第1段階的に「肝臓」が働き、第2段階的に「筋肉」が働いて代謝されます。アルコール分解速度には遺伝子的因子や、肝臓重量、筋肉量の違いや体の大きさも要因していることから、個人差が大きくあり、分解速度は男女間で男性が平均9.0g/hr、女性が平均6.5g/hrと差があることを話しました。
大平英夫准教授は講義のまとめとして、過剰な飲酒は様々な疾病リスクと死亡リスクを上げる要因であり、適度な飲酒は総死亡リスクは低下するが全ての疾病リスクを改善するわけではないと話し、飲酒する際は個人の適量で食前酒や食事と共にゆっくり飲むことを勧めました。受講者の方は終始熱心に講義を聴かれ、「とても勉強になった」と話される方もいました。
講座の様子
土曜公開講座(本学サイト)
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神戸学院大学栄養学部